ポーカー経済を制する者がポーカーを制す ~ ライブトーナメント編

多くの人がトーナメントについて、キャッシュゲームとは根本的に異なるものであると考えているのではないだろうか。私はこういった評価には賛成できない。これら二つの形式は、大多数が考えているよりもずっと、共通点を多く持っている。トーナメントに対する特別な知識を多く持ち合わせていなくても、強いキャッシュゲームプレイヤーは、世界大会のメインイベントのような大人数、高額参加費のトーナメントであっても、結果を残せるのだ。

同時にトーナメントとキャッシュゲームは、単に同じコインの表と裏というたけではない。私は二つの大きな違いがあると考えている。トーナメントでは、5、10、20bbといったショートスタックでしばしば戦うことになるが、一方キャッシュゲームではこうしたスタックサイズでプレイすることが滅多にない。

仮にキャッシュゲームにおいて、そうした状況に遭遇した場合、そのプレイ方法はトーナメントにおける方法とさほど変わらないだろう。しかし実際には、こうした小さいスタックをプレイすることは、キャッシュゲームにおいて重要な要素ではないのだ。

二つ目の違いは、トーナメントではニ位以下のプレイヤーが仮に全チップをなくしても、彼らに対してプライズが与えられる一方、キャッシュゲームにおいては基本的に何も得られない。しかし、この差異についての重要性は、平凡なプレイヤーたちの間でしばしば誇張されている。

トーナメントの序盤、プライズまで遠い場合、その効果は無視できる。入賞が近づいてきた時でさえも、過度に生き残りにしがみつきすぎという状態は容易に起こる。MTT(マルチテーブルトーナメント)では、賞金のほとんどが上位の何人かに集まっている。

「最少額入賞の専門家」といったあだ名は、入賞に固執した結果、過度に保守的にプレイするプレイヤーをからかう、トーナメント文化における軽蔑の言葉だろう。本当に最少額入賞の専門家であることは、有益なことではないのだ。

多くの人にとってトーナメントは、キャッシュゲームよりも楽しいものたろう。キャッシュゲームには競技的な側面がない。また、アドレナリンがでるような場面も少ないだろう。ゲームがここで終わってしまうかもしれないといったスリルが、あるプレイヤーにとっては魅力的なこともある。そしてもちろん、名誉もその魅力の一つたろう。あなたの目標がポーカーで有名になることなら、ライブのマルチテーブルトーナメントが、あなたのプレイすべき場所である。

残念ながらライブトーナメントは、お金の面ではあまり実入りが良いものとは言えない。簡単に説明してみよう。仮にあなたが、一般的なトーナメントにおいて100%の投資利益率を出せるとする。キャッシュゲームプレイヤーがよく時給について話すのと同様、トーナメントプレイヤーはよく、自身の利益率について話をする。10%の利益率というのは、ある参加費のトーナメントをプレイしたときに、参加費の10%分の利益を平均的に得られると期待できるということを意味している。あなたが参加費1,000ドルのトーナメントを、何度も何度もプレイした場合、1トーナメント平均で、1,100ドルの賞金が得られるということだ。

この10%というのは適当に決めたものたが、まあまあ上手いもののエリートレベルというほどではないトーナメントプレイヤーが出せる程度の数字だ。

参加費1,000ドルのトーナメントをプレイすると決めたとき、あなたはそれを一度プレイするごとに、平均して100ドルが得られる。しかしそれぞれのトーナメントはあなたに、ある程度の時間を取らせる。時折あなたは最初のレベルで飛んでしまうかもしれないし、一方、3日間プレイしたのちに最終的に優勝するかもしれない。そうした参加費1,000ドルのトーナメントを平均して5時間プレイすると仮定すると、―つのトーナメントで100ドルの利益が期待されるわけであるから、1時間当たり20ドルの稼ぎとなり、この額
は、$2ー5の上手いライブキャッシュプレイヤーが得られるものより、少し少ない程度の額である。

そして、トーナメントの道を選ぶ場合、金銭的に二つの大きなマイナス面がある。一つ目は、分散が非常に大きいということだ。堅実に利益を上げられる$2ー5のプレイヤーが、一連のセッションを通じて20,000ドル以上を失うことは、そうそうない話だ。しかし、1,000ドルトーナメントをプレイし続ける場合、何も得られず20,000ドルを失うことはよくある話だ。同程度の時給と仮定すると、トーナメントをプレイするためには、より大きい資金が必要となるのだ。

ニつ目の悪い点は、大人数のトーナメントで、莫大なプライズを取ったときにおこる、所得税である。我々が利益率について話をする時、たいてい税引き前の利益率について話している。小さいトーナメントを、多くプレイする場合、ROIが平均的な勝ち額を示すものと考えてよいが、大規模なトーナメントをプレイする場合は、所得税の影響によって、優勝賞金は表示されているものより小さくなってしまうのだ。

例えはあなたが50万ドルをトーナメントで獲得したとする。もしこの額が、あなたが一年で、普段稼ぐたろう額を大きく超えている場合は、最大額の課税を受けることとなる。この額はあなたの居住地にもよるのだが、40%もの額となることはおかしなことではない。

その場合、実際の賞金額は50万ドルではなく30万ドルとなる。あなたはこんな風に考えているだろう。「たった30万ドル?どうやってこの奴隷のような賃金で生きろと?」

20万ドルもの税を払える立場にいること自体は好ましいことなのかもしれないが、トーナメントで期待できる利益率には非常に大きな沈み込みができてしまう。トーナメントの参加人数や総賞金額の規模にもよって、10%という数字が、8%や9%へと落ち込んでしまうのだ。

経験豊富なライブトーナメントプレイヤーは、こうした問題を、プレイヤー間で参加費を持ち合うことによって解決している。1,000ドル満額を払うのではなく、勝ち分の70%を700ドルで売るわけである。その700ドルを、7人の友人に10%ずつ持ってもらったりするのである。

トーナメントが始まると、このプレイヤーは参加費の30%を自分自身で持ちながら、残りの70%を7人のプレイヤーに分配して持ってもらっていることになるのだ。

この方法はリスクを分散させ、下振れと上振れの両方を穏やかにする。リスクが細かくなり、多くのプレイヤーに分散されていると、1,000ドル参加費のトーナメントで20,000ドルを得るのは難しくなるが、大きい額の賞金をシェアすることができるため、税金の影響も改善することができるのだ。しかし、こうしたシェアの方法は、良い面もまた制限してしまう。

ものすごく努力をして、あなたが知る限り最強のトーナメントプレイヤーになったと仮定しよう。その場合、あなたが友人とシェア(参加費の一部)を交換するときは常に、あなたの貴重な持ち分を価値の低いシェアとの交換によって薄めることになる。あなたの友人もあなたと同じくらいの腕がなければ、平等な取引にはならないのだ。

あなたが有名になることができている場合、先ほどの問題を「マークアップ」というハンデ付けシステムを通して解消できる(注:「賞金の10%を受け取る権利を、参加費の15%の価格で売る」などとする仕組み)。この方法は、とあるプレイヤーのシェアが、他のプレイヤーのシェアよりも市場において価値のあるものであると一般的に認識されている必要がある。

しかし、このやり方は不正確なものである。あなた自身のスキルに対するあなたの評価は、他者が考えるあなたの価値と合致しないかもしれないからだ。また、あなたがどんなに上手くプレイできても、1,000ドルのライプトーナメントをプレイすることで、豊かになることができないという基本的な問題を解決するには至っていないのだ。

お金を稼ぎたいのであれは、5,000ドル以上の参加費のトーナメントをプレイすべきであり、そうした場合、世界各地を転々としながら、それらに関連する経費も支払わなければならなくなるのだ。

ライブトーナメントについて、良いニュースはあるだろうか。多くの場合、ライブトーナメントは最弱レベルのプレイヤーを呼び寄せる。20ドルのデイリートーナメントから、10万ドルのスーパーハイローラーイベントまで、ほぼすべてのノーリミットホールデムのトーナメントが、優勝する可能性のほとんどない、弱い「デッドマネー」プレイヤー達の一定割合を魅了しているわけである。

トーナメントの圧倒的な人気と、それらで優勝することへの魅力により、その競技者層がおそらく非常に長い間、ソフトなものであり続けるのを可能にしているのだろう。ライブトーナメントプレイヤーとして成功するためには、シェアを取引できる多くのプレイヤーとのネットワークを構築することが必要となる。そして、「ポーカーの世界」にはびこっているような、よく起こる、不正行為や詐欺に、きちんと対処する必要がある。

もしこういったネットワークづくりがあなたにとって魅力的なもので、トーナメントの興奮状態を楽しむことができるのであれは、ライブトーナメントはあなたに向いていると言えよう。しかし、よほどラッキーでない限りは、すぐにお金持ちになるのは難しい。

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