実践編:$1-2ライブゲームを攻略する ~ プリフロップ戦略

シンプルで効果的なプリフロップ戦略の主な目標は、多くのハンドをプレイしすきてしまうのを防ぐことだ。結局我々は、相手がくれるお金を奪うのに役立つハンドをプレイしたい。それ以外の全てのハンドは避けたいのだ。

プリフロップのハンド選びで、多くのプレイヤーが犯す最初の間違いは、フロップで超強力な手を作れる、あらゆる状況を想像してしまうことである。それゆえ彼らはK♥を、ハートのフラッシュを作るか、Kと7のペアを作る、あるいは7のトリップスを作る可能性がある、といった理由でプレイしてしまうのである。

また、T♥9♠も、それがストレートを作ったり、ツーベアやトリップスを作ったりするかもしれないという理由で、プレイしてしまうわけである(注:ポーカーにおいて「10」のカードは「T」<Tenの略>と一文字で表記される)。そして、フロップが彼らを失望させるものであった場合(たいていはそうなるが)、彼らはそのハンドを諦めるのだ。

こうした「フロップで何かをヒットさせよう」とする考え方にはニつの大きな問題点がある。

―つ目は、プリフロップで多くのハンドをプレイしすぎてしまうことだ。どんな2枚のカードの組み合わせも、それがビッグハンドを作り得ると考えてしまうせいだ。

ニつ目の問題点は、こちらがより重要なのだが、フロップで何かをヒットさせるというのが、必すしもお金を得られる条件ではないということである。この点はとても大切なので、もう一度強調しておこう。

フロップをヒットさせることで、お金がやってくるわけではない。

「山崎さん、なぜそんなことが言えるんですか?」とあなたは尋ねるだろう。確かに、フルハウスをフロップで作った場合、お金はおそらくあなたのもとへと届くだろう。

しかし、「フロップをヒットさせるスキル」といったものは存在しない。もちろん、ある特定のハンドが、別のハンドよりも、おのずからフロップでヒットしやすい、といったことはある。しかし誰かが、別のプレイヤーよりもヒットさせやすいということは絶対にない。あなたが、$1ー2のゲームをプレイしているときに、対戦相手が何をしようとしているのかを考えてみよう。彼らはプリフロップにおいて、あるハンドをプレイし、それをフロップで激しくヒットさせようと頑張っているのだ。

対戦相手がするのと同じやり方を取っていては、勝つことは期待できない。代わりにあなたは、1時間の手数料として10ドルを失うのだ。あなたが「フロップでヒットさせよう」などと考えるときは、いつも、1時間に10ドルを損してしまうポーカーをプレイしていることになる。ポーカー経済を制する者がポーカーを制すを振り返ってみよう。金は一体、どこからやってくるのだろう。それは相手が多くのハンドをプレイしすぎているときに、あなたがべットやレイズをすることでもたらされる。あなたが1回か2回のべットをすることで、相手が本当に強いハンドでしかポットにとどまらす、それ以外ではプレイすることを諦めてくれることによって、あなたは利益を得るのである。

あなたがプリフロップでプレイすべきなのは、幅広いパターンのボードに対しべットやレイズが最善となりそうなハンドなのだ。フロップで多くトリップスをヒットさせることは、利益を得たり、長期的に勝ち越したり、スタックを増やすために必須ではない。実際それは、完全に的外れな話なのである。

あなたは、最適なシチュエーションがそろった場合に、べットやレイズすべきなのである。そういった時にお金はやってくるのだ。べットやレイズが求められるシチュエーションを明確にし、それをあなたが実行するのだ。

もちろんあなたは、どの2枚のカードでもべットやレイズを行うことができる。しかし、7♧2♥でべットするよりも、T♠9♠でべットする方が、コールされたときのエクイティが良いものであろう。それゆえ、プリフロップにおいては、7♧2♥よりもT♠9♠の方が、断然良いハンドといえるのだ。それゆえ、T♠9♠の方をプレイし♧7♧2♥の方をフォールドするわけである。

ところで、「エクイティ」は、今やあちこちで聞く言葉だが、実はあまりきちんと理解されていないコンセプトだ。「ショーダウンエクイティ」は、全てのプレイヤーがハンドを開き、残りのホードが全て開かれた場合に、ショーダウンにおいて、そのハンドが勝つ可能性のことを指している(つまり現時点での勝率を指している)。

ESPN(スポーツチャンネル)などで、プレイヤーのハンドの横に小さく書いてあるパーセンテージの数字がそれである。とあるハンドに対して、ショーダウンエクイティを見積もることができるのは便利なことである。しかし更に大切なのは、あなたの持つトータルの工クイティである。

通常、工クイティとはあなたのハンドのトータルの価値を指している。ホードが開かれるにつれ、あなたのハンドは二通りの手段で価値を持つ。一つは、ショーダウンで勝つ可能性という意味の、ショーダウンエクイティだ。二つ目は、あなたが上手いブラフを打って、相手をフォールドさせ、ポットを得られる可能性という意味の、フォールドエクイティである。

一般的に、あなたがハンドを持ち、このあともカードがめくられる状況であれは、あなたのハンドにはエクイティ、つまり価値がある。あなたが72〇を持っていて、ホードに7も2もない場合でも、あなたのハンドにはエクイティがあるのだ。

こうしたハンドがもつ価値というのは、あなたがべットをした場合に相手がフォールドしてくれる可能性から来る。あなたが65を持って、ターンで1人のプレイヤーを相手にしているとしよう。そして、ホードには6も5もなく、ストレートを作れる可能性もない。あなたが持っているのは6ハイである。

それでも、あなたのハンドにはエクイティがある。あなたがチェックし続けた場合、ショーダウンにおいて勝てる可能性は非常に少ないだろう。相手が、あなたのべットに対しフォールドする可能性から得られる価値が、あなたのフォールドエクイティとなるわけである。

あなたのブラフが失敗した後に残るエクイティが、「コールされたときのエクイティ」と呼はれるものである。この例でリバーを迎えた場合、6ハイよりも弱いハンドであなたにコールしてくれる可能性はほぼ0であるため、コールされたときのエクイティは、0だといえよう。

しかし我々はまたターンにいるために、コールされたときのエクイティは、小さいものの、0よりは大きい。リバーで6を拾って、6のペアで勝つ可能性もあるわけたし、リバーのブラフによって、相手をフォールドさせて勝つこともあり得るのである。これらの可能性をあわせた値が、ターンにおける、「コールされたときのエクイティ」となるわけである。多くはないが、いくらかは存在するのだ(6ハイハンドの代わりにKハイハンドでブラフを行う場合、あなたのコールされたときのエクイティがより高いものとなることもまた、確かだ)。

「コールされたときのエクイティ」という考え方は、プリフロップにおけるハンド選びの鍵となる。ごく少数のプリフロッブハンドはとても強力で、フロップ以降でブラフしようとは滅多にならない。AAやKK、QQといったあたりのハンドである。

それ以外のハンドでは、あなたはフロップ以降、ブラフをしたくなることがある。ブラフをしようと考えている時はいつでも、そのハンドが持っている潜在的な、コールされたときのエクイティを、しっかりと考えなければいけない。

ブラフをする時はできる限りにおいて、コールされたときの工クイティを高いまま維持しておきたいのである。ポーカー経済を制する者がポーカーを制すでは、お金がどこから来るかについて考えた。本稿では、シンプルで効果的なプリフロップ戦略を考えた。お金というのは、部分的には卓越したプリフロップのハンド選択によって得られるもので、その選択は常に、エクイティの働く仕組みに沿って行われるべきなのである。

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