所長挨拶

スロットに興じる若かりし頃の所長、山崎博信

私がまだ子供の頃、父はゴルフ番組をよく観ていた。毎週木曜から日曜は、テレビのチャンネルが常にPGAトーナメントにセットされていた。まだインターネットのない時代の話で、家にはテレビが一台しかなく、私は多くの日々を囚われの聴衆として過ごしていたものだった。

そうした何千時間もの番組を見ていて、多くのプレイヤーが、緊張感のある日曜の試合前や大敗のあとの時間にインタビューを受けているのを聞いた。それらほとんどの言葉は、自分に響かないようなありふれたものたった。あなたが一度、ありふれた決まり文句によるアスリートのインタビューを聞いたことがあれは、ほぼそんな内容と考えてくれてよいだろう。

しかしある日、私はそうしたインタビューの中で、頭から離れなくなる言葉を聞いた。誰が言ったものかは分からないが、その言葉はとても力強いものだった。「他のプレイヤーに対してプレイするのではなく、コースに対してプレイするのだ」と、そのゴルファーは言ったのである。

あなたが100人ものプレイヤーとのゴルフトーナメントに参加した場合、ニつの考え方をすることができるだろう。ひとつは「自分は対戦相手と勝負している」という考え方だ。トーナメントに優勝するために、あなたは全ての対戦相手を打ち負かさなければならない。ドライバーでものすごい距離を飛はす相手や、絶対にパットを失敗しない相手を打ち負かさねばならないのだ。様々な窮地から這い上がってくる相手や、激しいプレッシャーの中でも戦い続ける相手をもまた、打ち負かさねはならないのだ。

しかしそうした考え方は、一側面からのものでしかない。もう一つの考え方は、相手のことを一切無視するというものである。他のプレイヤーのことは気にしないということだ。彼らのやることは、彼らのやることなのだ。それはあなたが関知することではない。捉え方をかえれば、ゴルフトーナメントには2人のプレイヤーしかいないとも解釈できよう。

それは、あなたとコースである。コースはそこにルールを作る。コースがチャレンジを作り、コースがそこに障害物を設けるのだ。あなたのやるべきことはそうした問題を分析し、戦略を組み立て、それを実行することなのだ。

それがすべてだ。あなたが正しい戦略を選び、しっかりとそれを実行できれば、勝利というものは向こうから自然と寄ってくる。他のプレイヤーはどちらにせよ自滅するのだ。あなたがコースを攻略することができるなら、あなたはすべての対戦相手のことは無視できるし、そこで優勝できることだろう。

こうした考え方は非常に強力だ。他のプレイヤーというあなたがコントロールできない要素と、自身の戦略というあなたがコントロールできる要素との間を明確に線引きする考え方であり、この考えはおそらくポーカーに対して、より当てはまる。

ポーカーでは他のプレイヤーに気を散らされることも多い。「あるプレイヤーが、2度コールして、そのどちらもガットショットストレートを引いた」「こいつはポットを争っている時に、コールをやめることをしらない」「テーブルの向こう側の女性は、立て続けに3回もナッツを作った」など、さまざまあるだろう。

そういったものは、すべてがノイズだ。無視すべきた。ホールデムというケームは、9人を相手にして戦うゲームではない。コースと戦うべきゲームなのである。そのコースさえ攻略できれは、自然と結果がついてくるゲームなのだ。

もしあなたがノイズを無視できない場合、危険な罠にはまるリスクを負ってしまう。それは、相手のプレイを変えようとしてしまうということだ。あなたに対しコールし続け、逆転してしまう相手に対し、自然な反応としてそうしたコールするのをやめさせるようなプレイをしてしまうのだ。例えば、べット額をより大きくするといった風に。大口径の銃をぶっ放せば(つまり十分に大きなべットをすれは)相手をポットから追い出すことができるだろう。

しかし、こうしたアプローチは明らかに間違っている。対戦相手のプレイに反応し、それを変えようとするほど、あなたは勝てなくなってしまうのだ。コースに対してプレイをしよう。ポーカーにおけるコースとは、対戦相手そのものを指すわけではない。彼らによって作られるものである。対戦相手は使用する戦略によって、どこにバンカーや池を置くかを決めているのだ。彼らはまた、どこにフェアウェイやグリーンがあるかも決めているのである。相手の戦略に欠陥が多いほど、フェアウェイは広くグリーンは大きく乗せやすくなるのだ。

あなたがまずすべきことは、コースの調査である。プレイする時は毎回、相手のアクションを研究する。どこに危険があって、どこに果実が実っているかを判断するために。そして可能な限り良い状況を作り上げるために戦略を組み立てる。あとはそれを実行するだけだ。

調査、戦略の構築、実行。これを常に行えば、対戦相手はあなたに追いつけはしないだろう。

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