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インタビュー

仕方が無いでははじまらない:村山祥栄氏〔京都市議会議員〕

㈱リクルートを経て政治家に。長い歴史と豊かな観光資源、技術力の高い先端企業を擁する古の都・京都の地で未来を見据えて行動する。「政治には何よりも理念が求められる」と語る村山氏に、めざす京都の未来像と胸に抱く思いを訊く。

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――学生時代から政治に関心をお持ちになっていたようですが、なぜリクルートに。

大学時代、政治家の秘書のようなことをしていたのですが、そのまま政治の世界にいたら感覚ズレを起こすと思いました。ズレがあるままでは、成長しないと感じたからかな。ビジネスの世界でトップクラスの人間でなければ政治ができない。そこでビジネスの世界で高い評価を受けようと考え、転職マーケットで価値の高い企業――当時は野村證券・IBM・リクルートと言われていました――で、高い業績を誇るリクルートに入りました。

――当時、その後のビジョンはお持ちでしたか。

絶対評価を得られるレベルになってから、選挙に出ようと思っていました。高い折衝能力を身に着けて、ビジネスでも政治でも必要とされる人になりたかったですね。営業や企画で表彰されて、自分なりにがんばったかなと思ったから、政治の世界に進みました。

――政治家になろうと思ったきっかけは何ですか。

十代のころに、「政治家って命賭けてないよな」という思いがありました。政治家は人の命を守ることも壊すこともできる権力を持った「商売」なんだから、命を賭けてやるべきなんじゃないかと。学生時代に政治家の秘書みたいなことをやってる中で、今の政界には現実を容認している人しかいない、現実に直面しそれを乗り越えていくような人がいなければ政治が変わるわけがないと思うようになりましたね。それがきっかけです。

――尊敬する政治家は誰ですか。

いろいろ批判もありますが、田中角栄ですね。明確なリーダーシップを発揮していた。同時に先見性も持っていた政治家だったと思います。プロセスに問題があるかもしれないけど、議員立法も数多いんです。信念を持って行動するというのはなかなか難しいものですよ。

――村山さんの目指す政治スタイルはどのようなものですか。

地元(左京区)のために尽くすことと、京都市全体を考えること。どちらがいいというわけではなく、京都全体のことを考えながらも、地元を代弁する役目も負わなければならないと思います。京都市議会の中で自分が特徴的だと思うのは、京都市の有権者のためだけではなく、次の世代のことを考えているところですね。

――村山さんの考える、「日本に足りない物」とは。

特に同世代に強く感じますが、自由と自己責任の意識を兼ね備えている人材が少ないことですね。自由はいいことかもしれないが、それにまとわりつく自己責任という役割意識を持つべきではないでしょうか。たとえば、選挙に行かないのも身勝手だが、意思表示をしない人は権利を主張するのもどうかと思います。選挙に行くなどの責任を果たさずに、自由ばかり主張する。若い世代にこの特徴は顕著だということは、今後百年そういう時代が続く可能性があるということで、懸念すべき問題ですね。

――地方議員として、国と地方のあるべき関係をどのようにお考えですか。

どちらも小さな政府を目指すべきですね。地方は大統領制に似ているから、政治を実感してもらいやすいです。財源を中央から地方に移して住民のニーズにあった政治・行政を目指すべきですね。とはいっても、完全に移譲してしまうと赤字の地方自治体が増えるので、ある程度の配分はしていくべきだと思います。ただ、権限委譲されても、それを受け止める地方が育っていない。これまでずっと国の示すとおりやっていればよかったものがいきなり変わっても、地方議員に政策立案能力もほとんどない。このような地方の行政にお金を預けて、やらせて大丈夫かという疑問がありますね。

――京都は長い歴史があり、半導体やセラミックなど世界的に見ても技術力の高い企業もある街です。そんな京都でどのような街づくりをしたいですか。

よく聞かれます。まず自立が最優先です。京都市に独自路線を打ち出せる金銭的余力はないですから。経済の「血液」である金が止まっている状態です。今後10年、20年における自分自身の役割は3つです。1つ目は、京都市が、独立して仕事ができるだけの経営体力をもつこと。そして、伝統のある京都を 120%生かせる人材を育てること。最後に、その人材がしっかりと力を発揮できる組織をつくること。例えば、公務員に失業保険の制度がないことは疑問ですね。本当は公務員には安定の理由などどこにも見当たらないし、クビのない組織が良くなっているのを見たことがない。それに、30代で局長クラスを務めることがあってもいいと思います。魅力とやりがいのある組織にすれば人材は集まってくるのではないでしょうか。

――優秀な人材は中央に集まりがちだと思います。どうすれば彼らを地方に取り込んでいけるのでしょうか。

いろんな原因があるとは思いますが、地方と中央を比べてみて、金銭やポストなどの魅力がやはり中央では大きいですよ。京都市でも、そういった魅力をつくることで優秀な人材を囲むことができるかもしれません。地方分権化を進めれば、魅力のあるポストを地方に置ける可能性が広がります。魅力あるポストにつくことができて、それに見合う報酬がもらえるという体制をつくれば、人材は集まるのではないでしょうか。

――村山さん自身の今後の課題をお聞かせください。

やることは山ほどありますね。例えば渋滞の解消・案内表示・独自の観光誘致の事業。災害対策も。京都に震度6~7の地震が来る可能性が高いんです。自主防災組織・地域の人との連携を進めていこうと思っています。これはかなりやっているんですが、それでも被害を最小限にするにはもっと意識を高めなくてはいけないですね。

――京都の人は自衛意識が強いように思います。

学生は京都の人口の13%を占めています。大半が大学生で、地元の人間ではないので、地域に根付きにくい。そこが難題です。年齢の高い人たちは防災に対する意識が高いんですが、マンションができて若い世代が増えていて彼らの連携が取れていないのが現状ですね。

――学生が多いというお話が出てきましたが、京都市から見て学生が多いことはメリットとお考えですか。

産学連携が良い資源になっています。京都市に顕著なのは、少子高齢化問題。大都市にしては異例のスピードで増えています。愛着が強いから、お年寄りが定着して住む一方、子供は出て行く。出生率も1.13と低く、1クラスも編成できない学校があるほどです。先ほど取り組むべき課題の話が出てきましたが、近い将来真っ先に手を打たないといけないのは、子育て・出産奨励政策で、いくら京都市にお金がなくても、ここだけははずせないです。

――外から呼ぶという手もあると思いますが。

それよりも若い人たちがここで子育てをしたいと思えるような街づくりをしていくことが大切です。保育園を増やしたり、小児医療の制度を拡充したりすることで安心できる社会をつくって、子育てと仕事の両立ができる環境を整えたいですね。

――京都に関わる方法はたくさんあると思います。その中で市議会議員として京都に関わっていこうと決めたのはなぜですか。

市議が市議としての役割を十分に果たしていないのが京都市の現状だと思います。現状をドラスティックに変えることのできる人材はいても、市議の力は弱いですね。

――では、京都を変えるにはどのような立場が最適でしょうか。

市長をおいて他にありません。力の弱い市議である自分の役割としては、議員の権限を強化して、自分のスタンスを明確に見せていくことだと思っています。役所と議会は対立関係にあるのが本来の理想で、市議は役所を監視し提言をしていかなければならないですね。地域会派をつくるのも一つの方策です。今は無所属ですが。自民・共産・公明・民主だけ、という会派構成はいびつです。あくまで政党という名がつく限り、政党というフィルターが入る。各党の提出する意見書を見ていてもわかります。市民の意見をそのまま持っていくことができるのは地域会派しかありませんね。

――政治家に求められる資質とは何でしょうか。

何よりも「理念」です。筋を通せるかどうか。理念なしには政治は成り立たない。ビジネスの世界よりも、理念が求められるのが政治だと思いますね。

――村山さんが最終的に目指していることは。

「何もせずに組織が回ること。あるべき姿に戻すこと。」です。回る組織については先ほど話したとおりです。あるべき姿というのは、人々が政治に希望を持つ世界です。「自分たちの一票を持って政治を変えていく」とか、「自分が政治に参加しているんだ」という意識を持っている状態があって、はじめて民主主義と言えるのではないでしょうか。

そのためには地元住民との距離を近く持っていたいと思います。自分の目で見て足で確かめたものを大事にしたいですね。そうやっていくことで、「頼りになるじゃないか」という意識が増えて、政治不信が無くなる。積み重ねが大切で、それがモデルとなって京都全体に広がっていったらいいと思います。

――若い社会人・学生などに向けてのメッセージをお願いします。

キャッチフレーズは「仕方がないでははじまらない」。諦めないで頑張りましょう。「こうだから」ではなく「こうすべき」と考えることです。「こうしたい」という思いを大切にして欲しいですね。自分自身にもそう言い聞かせているし、若い人たちにもそう思っていただきたいです。

――ありがとうございました。

村山祥栄〔むらやま・しょうえい〕氏
1978(昭和53)年生まれ。25歳。専修大学法学部在学中、衆議院議員松沢成文(現神奈川県知事)事務所、参議院議員泉信也事務所で働き、全国の若手政治家のもとに選挙スタッフとして行脚するなどして修行。大学卒業後、㈱リクルート勤務を経て、2003(平成15)年、京都市議会議員選挙に左京区から出馬、市政史上最年少で初当選。現在、市議会唯一の無所属議員として活躍中。

※この記事は2004年1月発行のMPI機関誌『New Beginning』に掲載(肩書き等は当時)。

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