特定非営利活動法人MPI 
(2004年内閣府認証取得) 
HomeTokyoKyotoFukuoka

Interview

信念の力:ロバート・ペトロスキー氏〔カート・サーモン・アソシエイツ〕

米財務省や大手メーカー等での活躍の後、コンサルタントとして日本にわたったペトロスキーさん。飽くなき挑戦を続ける彼の口から、澱みなく語られる、力強い言葉の数々。誠実であること、チームワークを大切にすること、情熱を持つこと、そして信念に忠実に生きること。今一度、この言葉たちに真正直に向き合ってみよう。より良い「生き方」「活き方」を手に入れるために。

信念の力。Integrity, Teamwork, and Passion
ロバート・ペトロスキー氏〔カート・サーモン・アソシエイツ シニアマネージャー〕

■異国で挑戦を続ける国際派コンサルタント

――現在、どのようなお仕事をされていますか。

私は現在、カート・サーモン・アソシエイツ(グローバル経営コンサルティング会社)のシニアマネージャーとして、イオン株式会社のECRプロジェクトに携わっています。その中で我々のチームは、「Intactix」と呼ばれるサード・パーティーが提供しているスペース管理のソフトウェアの導入を支援しています。欧米のベスト・プラクティスをもとに、最良の業務プロセスや分析手法、そしてそれを支える最適な組織体制の構築を支援するのが我々の役割です。

――そのお仕事をどうお考えですか。

現在のプロジェクトは非常にチャレンジングなものだと感じています。我々がベスト・プラクティスに基づいて行なっている提案は、クライアントが現在実際に行なっていることとは余りにも異なっていますし、言語の相違からもたらされるコミュニケーション上の障壁もありますからね。

もっとも、私はこのような国際的なプロジェクトにつきまとうそのような困難に挑戦することや、若くプロアクティブで、非常に優秀な日本人のコンサルタントと共に働くことが本当に好きです。彼らのおかげでコミュニケーション上のギャップは随分と緩和されていまして、イオンで取り組もうとしている、ベスト・プラクティスに基づいた新たなビジネスプロセスへの移行について説明する際など、非常に助けられています。

また、我々のプロジェクトは、現在続々と日本市場に参入してきている強力でグローバルな競合相手としっかりと戦っていけるようにイオンをポジションすることが目的ですので、そうした意味でも非常にダイナミックでチャレンジングな仕事だと思います。

――どうして現在の仕事を選んだのですか。きっかけになる出来事は何でしたか。

そうですね。このような国際的なプロジェクトに挑戦することに非常にワクワクしましたし、前々から日本のビジネスパーソンの聡明さとその成功を尊敬していましたので、アジアで彼らと共にプロジェクトに挑戦することに魅力を感じたのです。

また、当時はアメリカの卸売産業で多くの統合が起こっており、私が23年間勤めていた前の会社(米国卸売大手のスーパー・フード。現ナッシュ・フィンチ)もライバル企業に買収され、私が一緒に仕事をした多くの人々が会社を辞めなければなりませんでした。そうした中で、コンサルティング業界で自分の腕を試してみたいと思ったのです。私がこれまで経験してきた幅広いビジネス経験と、多くのコンサルタントと仕事をしてきた経験は、コンサルティング業界で活躍するための成功要件だと思いましたので、自分自身を活かしていきたいと思いました。

――仕事以外ではどのようにお過ごしですか。

ゴルフに行くことや、野球やバスケットボール、アメリカン・フットボールなどを観ることが趣味ですね。また、日本に来てから初めてワールドカップを体験しましたので、今はサッカーにも非常に興味を持っています。それに、相撲も見るのも大好きです。

その他、休暇ではアジアのあちこちを旅行してきました。アジアは本当に魅力的なところです。アメリカとはまさに別世界ですね。

■INTEGRITY, TEAMWORK, AND PASSION

――仕事や生活において、ご自身で心掛けていることはどんなことですか。

私が持っている信念は、ビジネス、友人関係、家族生活など人生のすべてにおいて最も貴重なものだと思います。それは、誠実であること、チームワークを大切にすること、そして情熱を持つことです。私は子供の頃から家族にこれらの重要性を教えられてきましたし、私は今でもこの信念に忠実に生きようとしています。また、これらのことが人生においていかに重要であるかを他の人にも教えるよう心掛けています。

――そうした心掛けはお仕事や人生にどういう効果をもたらすとお考えですか。

誠実さとチームワークと情熱、これらを持っていなくては成功することも幸せになることも非常に困難だと思います。しかし、これらの信念を兼ね備えていれば、それは自尊心や人々からの敬意を生みますし、それは成功と幸福をもたらすでしょう。

そして、自分自身がやっていることが好きでなければ、成功や幸福はもたらされません。もしも自分の仕事が嫌いで、お金を稼ぐためにだけ仕事をしているのであれば、その仕事には自分自身の心や魂が込められていないことになります。そして心や魂が込められていない仕事は、ほとんどの場合、成功しないと思うのです。

――ビジネスパーソンが自分を「活かす」には、どのようなことを心掛けることが重要でしょうか。

先程の質問でお答えした通り、誠実であることとチームワークを大切にすることは、ビジネスパーソンに限らず、人々が成功と幸福を手にする上で必要不可欠のものだと思います。さらに、自分の仕事に対して情熱を持つことができれば、情熱は正しい姿勢を生み、それは結局どのような人生の冒険や挑戦であっても、成功をもたらすと思います。

■成功とは常に変化し続けることだ

――ビジネスパーソンの「活き方」「生き方」は、時代の中で変わってきているとお考えでしょうか。成果主義やリストラの波の中で「自立」の必要性が叫ばれていますが、こうした傾向をどのようにお考えですか。

アメリカやヨーロッパで導入された時と同じように、成果主義は日本のビジネスの風景を変えていくでしょう。また実際に成果主義は、日本の会社の生産性を向上させ、よりグローバルな競争力の向上に役立つでしょう。そして競争力の向上は、日本の経済、そしてこの偉大な国に住んでいる人々にとっても、最終的には有益なものになると思います。

英語に「強い者だけが生き残る」という格言があります。この格言が日本で100%適用されるとは思いませんが、どの会社、そしてどの個人が今後のリーダーになるかについては、目に見える影響をもたらすに違いありません。不幸なことに、変化に抵抗する個人や会社は、成果主義により多くの不利益を被るでしょう。しかし、全体として見れば、成果主義は日本と日本の人々にとって有益なものになると私は信じています。

また、このような時代の中で生きなければならない若い人々は、自分自身に自信を持ちつつ、プロアクティブに、また変化に対応することに情熱と強い確信を持つことが必要だと思います。

私は、成功することとは絶えず変わり続けることを意味すると思います。なぜなら、歴史は必ずしも将来の成功を生み出すものではないからです。

――そのようなご自分の「生き方」「活き方」を、入社当時からお持ちでしたか。また、どのようにして身に付けて来られたのですか。

そうですね、働き始めた時は現在の私の「活き方」や「働き方」は持っていなかったと思います。しかし、私は先程お話しした、誠実であること、チームワークを大切にすること、そして情熱を持つこと、という信念は最初から持っていました。

時が経つに連れて、私と同じ信念を持つ人たちが成功していることに気づきましたので、そうした人々とできる限り関わるようにしてきましたし、自分の信念に基づいて生きようとしてきました。これらの信念を持っていない人たちは、いつも何かを他の人のせいにしていましたし、お互いをけなしあっていました。そんなことはまったく建設的でなく、何ももたらしません。

■信念に忠実に生き、自分を活かせ

――現代の若手ビジネスパーソンたちは、どのようなことを心掛けていくべきでしょうか。

既に何度かお話ししてきたように、若い人々への私の助言は、高いレベルで信頼できる誠実な人間であることと、他の人と協力してチーム――チームteamという言葉には「I(私)」という文字はありません――として働くこと、そして最大の努力を払えるような情熱を持てる、楽しめる仕事を見つけることです。

――まわりの若手社員をご覧になって、どのような印象やご感想をお持ちですか。

私は、ここ日本で一緒に働いてきた若いプロフェッショナルたちを大変尊敬しています。彼らの働く態度、誠実さ――この単語integrityはしばしば私の会話に出てきます――、それと成功に対する強い願望は賞賛に値するものです。幸運なことに、私は現在、非常に才能があり、なおかつ人の話を聞き、学習する強い望みを持っている若者とチームを組んで働くことができているのです。私は、しばしばチームのメンバーに言います。「我々はチームとして成功するか、あるいはチームとして失敗するか、このどちらかだ」と。幸運にも、私のチームは人に誇れる幾つかのサクセスストーリーを持っています。

――「活き方」を考える上では人とどのように関わるかが非常に重要だと思いますが、現在の交際範囲はどのようなものになっていますか。また、そういう出会いは何を通じて、どのようにして得られてきたのですか。

私は多くの方法で人脈を築いてきました。いまだにピッツバーグ(ペンシルバニア州)で育った子供の頃の友人や、大学時代の友達、そしてビジネスキャリアの中で培ってきた多くの方々との友情を維持しています。私がこのインタビューの間に何度も申し上げたことと同じ信念を持っている人々と仲良くすることが人脈構築の鍵だと思います。

また、私生活と仕事の両面をつなげることは、将来のビジネスや自分の成功にとって、非常に貴重だと思います。これも私が信じる格言ですが、「誰に対してもドアを閉ざしてはならない。いつ誰が自分の人生に影響を及ぼすかわからないのだから」という言葉があります。これも重要なことではないでしょうか。

――人と初めて会うときに心掛けていることはありますか。

私の見解では、初めて誰かに会う場合に、行なう最良のことが、「よい聞き手」であることです。よい聞き手であれば、初めて会った人に関しても、多くを知ることができますし、彼や彼女がどんな人間かを理解することも可能です。忍耐力を養い、会話にどのタイミングで自分が入れば良いかを慎重に見極めることも非常に重要だと思いますね。

――最後にまとめとして、本誌の読者にメッセージをお願いいたします。

自分自身の行なうことを信じ、自分自身を信頼し、他の人に対して自分が接して欲しいように接すること。また、誠実であること、忍耐強くあること、そしてチームとして働くことを忘れないこと。チームとして一緒に働く場合は、どんな個人よりも強いということを忘れないこと。そして最後に、楽しむことがチームスピリットを維持する上で重要ですから、楽しむことを忘れないことですね。

――ありがとうございました。

ロバート・ペトロスキー〔Robert Petroski〕氏
カート・サーモン・アソシエイツ シニアマネージャー。1951年生まれ。52歳。ゼイビア大学(オハイオ州・アメリカ)卒業。大学時代はバスケットボールを3年間、野球を2年間プレー。両方でペンシルバニア州チームに選ばれ活躍した。連邦金融検査官(財務省)、ホーバート株式会社(大手器具メーカー)、ピトニーボウズ(郵便料金メーターメーカー)でシニアオディター(会計検査官)として勤務の後、卸売大手のスーパー・フード(現ナッシュ・フィンチ)の監査ヴァィスプレジデントを経て現在、グローバル経営コンサルティング会社カート・サーモン・アソシエイツにて現職。

※この記事は2004年5月発行『New Beginning』第3号に掲載(肩書き等は当時)。

date: 2004.05.31

Copyright © MANAGEMENT & POLICY INSTITUTE 2007  powered by Movable Type 3.33-ja